チャトランはどの猫とも違っていました。驚くほど頭が良く、自己主張がはっきりしていて、弱いものには優しく、子分を守るときには素晴らしいリーダーシップを発揮していました。また人間だけでなく、犬とも美しいコミュニオンを創りあげていました。
チャトランの可愛い手 |
私は東京に長く住んでいたので、実家にいるチャトランに会えるのは年に数回でした。帰るたびに大きくたくましくなって、ケンカの傷跡が増えたり減ったりしていました。チャトランは子猫のときに病気で片目をなくし、それ以来、右目だけで生きていました。片目になったあとも、兄弟たちは彼に優しく、またチャトランも生き生きと楽しそうでした。人間ならきっと、周囲の人が「片目をなくして可哀そう」と思ったり、本人は「どうして私がこんな目にあうの!」と悲しんだりしたことでしょう。猫たちはそのどちらでもなく、両目があったころと同様に生活していたのでした。
最後にチャトランと会ったのは2010年2月2日でした。